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長谷川幸洋「2020年新聞は生き残れるか」中日新聞は「ピンクや黄色の実験室 かっぽう着アイデアも」と物語を語ったようだ

2014/04/21 日々閑々, 本

確か佐村河内騒動の時だったと思いますが、 某TV番組で、「メディアは物語を作りたがる」という話になった時に、自身東京新聞・中日新聞の論説委員でありながら「メディアとはそういうものだから、仕方がない」と居直っていたのが印象に残り、「2020年新聞は生き残れるか」を読んでみました。

2020年新聞は生き残れるか

2020年新聞は生き残れるか

  • 作者: 長谷川幸洋
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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かなり平易な文章で分かりやすく書かれていますので、この本が長谷川幸洋さんという方を知るために最適なものかどうかは分かりませんが、冒頭に書いた「居直り」と、この本のストレートな語り口に全く違和感はなく、まあほぼ現在の本音が語られているのではないでしょうか。

タイトルの「2020年」は東京オリンピック開催の年、その誘致が決まった翌日は新聞休刊日、つまり、この大ニュースを報道すべき日であっても、新聞は身内の論理で決めた休刊日に安住しているという切り口から、こんなことではオリンピックの年に新聞が生き残っているかどうかは疑わしいと、新聞というメディア、あるいは新聞記者の抱える様々な問題について語っていきます。

自分自身の経済記者の経験から、財務省の垂れ流し情報を記者クラブで待ち続ける記者をポチ化現象と語り、復興予算の流用問題をスクープした「週刊ポスト」のフリーランス記者福場ひとみさんが、ネットでの情報収集と電話取材で記事を書き上げたことを驚きを持って伝え、取材相手に信頼されることが良い記者になるための条件ではないと説きます。

で、結局、記者自身が自分の頭で考え、取材対象に迫るべきだということのようですが、でも、それって当たり前のことで、そうしていないと思っている記者がいるとすれば、それこそ大問題でしょう。

記者は皆自分の頭で考え、正しいことを報道していると思い込んでいるのに、なぜポチ化してしまうのかという構造的な問題こそが問われるべきではないかと思います。記者の資質の問題で語るようなことではないような気がします。

ネットの情報はまずは疑ってかかれというのが常識として定着していますが、未だ、新聞は真実、事実を報道しているという幻想を振りまこうとしていることが問題で、それをやめて「これはひとつの見方です 真実は自分の目や耳で確かめてください」と前置きすればいいことではないかと思います。

たとえば、「STAP/笹井さんと小保方さんが、発表の前に研究室をピンクに塗り替えたらしい…(中日新聞より)」で取り上げた「STAP疑惑底なし メディア戦略あだに」の記事にしても、理研も小保方さんもそれぞれの記者会見で否定していますので、やはりこの記事も「物語を語ろう」とするメディアの習性そのものなのでしょう。まあ何が事実かははっきりしませんが、それこそ、テレビドラマ的に見るとこうなりますと前置きして記事を書き始めればいいように思います。

人は物語という文脈を経なければ何も認識できないと考えれば、新聞も「物語」を語ろうとすることは、ある意味避けがたいことなわけですから、そろそろ「真実を報道する新聞」という幻想(偽装)を捨てて、ひとつの見方(物語)的前置きを心掛ければ、メディアをめぐる多くの問題は解決するように思います。

で、この「2020年新聞は生き残れるか」ですが、全体的にものごとを直感的にとらえた記述が多く説得力に欠ける部分もありますが、新聞というメディアの内部にいる方の本として読めばそれなりに面白いのではないかと思います。

2ch(だけではありませんが)に「××だけど何か質問ある?」というスレッドがあり、その中に「お前らの大嫌いなマスゴミ記者だけど質問ある?」という全国紙の記者が質問に答えているものがあります。このスレ主は、経済記者のポチ化を指摘する長谷川さんと同様に、「日本の報道機関は事件報道のほぼ全てを警察からの情報源に頼っているから。警察を敵に回したら事件の情報をもらえない」と、社会部の記者のポチ化を語っています。

まあ、これもこのスレが釣りじゃないとしての話ですが…。

STAP/笹井さんと小保方さんが、発表の前に研究室をピンクに塗り替えたらしい…(中日新聞より)
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