@半径とことこ60分

ホーム>本>小石清写真集『初夏神経』と『半世界』

小石清写真集『初夏神経』と『半世界』

2019/03/13 本

阪本順治監督の映画「半世界」を見て、小石清さんという方はどういう作品を残しているのだろうと興味がわき、図書館で写真集『初夏神経』と『日本の写真家15 小石清と前衛写真』を借りました。

映画の感想はこちら。

movieimpressions.com

借りた本はこちら。

初夏神経 (日本写真史の至宝)

初夏神経 (日本写真史の至宝)

  • 作者: 小石清
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2005/07/01
  • メディア: 大型本
  • クリック: 1回
  • この商品を含むブログ (18件) を見る
 
日本の写真家〈15〉小石清と前衛写真

日本の写真家〈15〉小石清と前衛写真

  • 作者: 長野重一,飯沢耕太郎,木下直之
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1999/07/13
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログを見る
 

小石清さんのウィキペディアはこちら。

小石清 – Wikipedia

『初夏神経』

「日本の写真史の至宝」という復刻版のシリーズの一冊です。冒頭の画像のように箱に入っています。写真集の作りは表紙と裏表紙がジンク版(亜鉛板)になっており、リングで閉じられています。オリジナルの発表は1932年、翌年に写真集として発売されています。

アヴァンギャルドということになるかと思いますが、とにかくいろいろな実験的な表現手法が使われています。

写真集の中を撮ることができませんが、一部は Google検索の画像で見られます。

10作品がおさめられており、そのすべてに印象的な詩が添えられています。

まず、冒頭、巻頭言的に

僕の若さの中に
僕の肉體の中に
僕の太陽は棲む

とあり、その後一作品ごとに

1 誘惑・鐵の情熱

とタイトルがあって写真が続きます。

たとえば、冒頭の画像の箱にある目の写真には、

8 自己凝視・ひしひしとくひ入つてくるもの

とタイトルがあり、その作品に対し、

僕は僕の掘りつくされた感情の坑道の
前に立って
胸の中に急速に崩壞する僕をきいた
視覺の放縦とその感情の精算−−
凝視−−
僕は新しく發生するものに身慄ひを感ず
るのだ 

の詩とその表現形式が記載されています。

この印畫は友人の眼を接近してフラッシュランプにて撮影す
その原板を釘にて割り、そのまゝ引伸す、乾板はイーストマン40番である

『半世界』

こちらは写真集としての出版はなく、1940年に浪華写真倶楽部展で発表されたとあります。

小石清氏は、1938年に雑誌『写真週報』(内閣情報部)の写真担当となり、内閣情報部海軍省の委嘱で11月から3ヶ月間中国に従軍しており、その時に個人的に撮ったものを『半世界』という連作で発表したようです。

『小石清と前衛写真』の中に10作品紹介されています。東京写真美術館のデジタルコレクションで見られます。

「洪水」

捨てられたのか、本当に洪水によってそうなってしまったのか、人力車の車輪半分くらいが水に浸かって傾いている姿を後ろから撮っています。遠くには廃墟がみえます。実際に洪水の後なのでしょう。哀感が漂っています。

「戦勝記念物」

木炭自動車でしょうか? 次の写真とあわせてみるとなんとなくニュアンスが分かります。

「肥大した戦敗記念物」

「舞踏・インフレーション」

二重露光?

「世紀への記念塔」

一瞬、髑髏? とドキッとします。

その他、TOKYO DIGITAL MUSEUM で『半世界』の10作品などが見られます。

戦後はあまり作品が残せなかったようです。そして最期は、「1957年、門司駅構内での転倒で頭を打ったことが原因で7月7日に同市の病院で死去した。小石は酒好きだったためにメチルアルコールに手を出して視力を悪化させたのが事故死の原因だといわれている(ウィキペディア)」とのことです。

アサヒカメラ 2019年 03 月号 [雑誌]

アサヒカメラ 2019年 03 月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/02/20
  • メディア: 雑誌
  • この商品を含むブログを見る
 
長山靖生著 『帝国化する日本-明治の教育スキャンダル』
「ROMA/ローマ」を見るために 地の果て(イオンシネマ茶屋)に行く
Twitter
Facebook
ブックマーク
LINEで送る

最初のサイドバー

Pick Up!

カテゴリーとことこ
とことこ
カテゴリー本
本
カテゴリー日々閑々
日々閑々

最新記事

2023/01/22

新春の蒲郡で徳川家康ゆかりの地とみかんの里の美味しいもの探索ウォーキング

2023/01/14

柴崎友香著『百年と一日』感想・レビュー・書評・ネタバレ

2023/01/8

スイッチ付きシャワーヘッドの交換は要注意です!

2023/01/2

2023年元旦金華山岐阜城、馬の背登山道を登る

2022/12/25

ブロッコリーツリーとSNSシェアの功罪

最新記事を一覧で見る

よく読まれている記事

よく読まれている記事を一覧で見る

カテゴリー

  • とことこ206
    • さわやかウォーキング92
  • マンション管理34
    • その他11
    • 建て替え1
    • 管理会社12
    • 耐震診断10
  • 料理18
  • 日々閑々253
  • 映画28
  • 本183
  • 歴史26
  • 生活42

Footer

My Web Sites

  • @半径とことこ60分
  • そんなには褒めないよ。映画評
  • IMUZA.com
  • GitHub

Related Sites

  • さわやかウォーキング
  • ALL REVIEWS
  • 好書好日
  • 読書メーター

Contact Us

  • お問い合わせフォーム
  • Twitter
  • Facebook
  • Feedly

Copyright © 2023 · IMUZA.com