吉田修一著「怒り」吉田修一さんらしさいっぱいの小説で、情感豊かなビジュアルが広がります。展開はややかったるい、新聞連載のせい?

2016.06.07

あっという間に読めますし、面白いのですが、いや、いや、…が、ではなく、面白いです(笑)。一年にわたる新聞連載の単行本化なんですね。それぞれは全く関係のない3つ、3ヶ所の話と、ある事件を捜査する刑事の話の4つが、入れ代わり立ち代わり語られていきます。そのせいなのか、読み始めてしばらくは、あれ?誰だっけ?といった感じで集中力が途切れたりします。連載だからなのか、意識的に、こういう幾つかの物語を平...

佐藤泰志回顧展「〈青春の記憶 夢みる力〉佐藤泰志の場所」が中日新聞に紹介されていた

2016.06.03

日々閑々, 映画,

ウェブにはないみたいですので、写真を撮りました。これですね。<青春の記憶 夢みる力> 佐藤泰志の場所(トポス)もう一度読み直してみますかね。佐藤泰志作品集作者: 佐藤泰志出版社/メーカー: クレイン発売日: 2007/10/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (23件) を見る 映画は、9月17日公開のようです。...

佐藤泰志さんの「オーバー・フェンス」が山下敦弘監督の手で映画化されたらしい!

2016.05.30

映画,

これは楽しみです!overfence-movie.jp「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」と映画化されているのですが、もうひとつ、佐藤泰志さんを感じられる映画になっていませんでした。でも、山下敦弘監督ならやってくれるでしょう(笑)。本を読んだ時の感想に tokotokotekuteku.comなどと書いています。ただ、多分「オーバー・フェンス」ではなく、「黄金の服」を考えての事だった...

吉田修一著「路(ルウ)」作者本人が語っているように「台湾が大好きです」がつまった小説です。

2016.05.18

「森は知っている」「太陽は動かない」と続けざまに吉田作品を読んだせいで、またも「吉田修一」にハマってしまいました。 路 (文春文庫)作者: 吉田修一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/05/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 台湾に日本の新幹線を走らせる。国家的事業に加わった多田春香は、入社4年目で現地でのプロジェクトチームに抜...

吉田修一著「太陽は動かない」語られる人物設定は特異でも、描かれる人物像は皆心優しくいいやつで、それでいて皆ダサい奴らばかりです(笑)

2016.05.13

数ページでいきなり挫折したのは、初版の発行が2012年4月ですから、ちょうど4年前なんでしょう。たまたま読んだ「森は知っている」が結構面白かったために、再度挑戦し、読み終えました。でも、やっぱり書き出しは、とても興味をそそられるものではありませんでした(笑)。太陽は動かない作者:吉田修一発売日: 2014/08/07メディア: Kindle版  ただ読み終えてしまえば...

はらだたけひで著「放浪の聖画家ピロスマニ」小さな家とキャンバス 他には何もない「百万本のバラ」の歌詞はピロスマニがモデルらしい。

2016.05.07

映画「放浪の画家ピロスマニ」を見て興味がわき借りてみました。 放浪の聖画家ピロスマニ(集英社新書ヴィジュアル版)作者: はらだたけひで出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/12/17メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 著者の「はらだたけひで」さんは、絵本作家の方で岩波ホールに勤めてみえるとのことです。上の映画の1978年初公開時にスタッフ...

又吉直樹著「火花」作者の真面目さ(かどうかは知らない)がにじみ出ており、気取った文学的表現に目を瞑れば結構面白い

2016.04.30

芥川賞受賞から1年近く経ちます。受賞後すぐに図書館で予約しておいたのですが、やっと順番が回ってきました。火花作者: 又吉直樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/03/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (144件) を見る 作者の真面目さがにじみ出ていると感じられる作品です。情景描写、特に冒頭1,2ページの描写は、文学ぶった言葉の選択や形容が鼻...

吉田修一著「森は知っている」 面白いです。初期の吉田修一的テイストを保ちながら適度にエンターテイメント。映画化可。

2016.04.28

久しぶりに吉田修一さんの本を読みました。読み始めて、何やらデジャブ感を感じ、帯を見てみましたら「太陽は動かない」の宣伝、その中に「鷹野一彦」の文字、ん? この本の中の「鷹野」と同じ?と、ざっとググってみましたら、この「森は知っている」は「太陽は動かない」の続編らしく、というよりもプロローグ、前日譚の物語とのことです。森は知っている (幻冬舎文庫)作者:吉田修一発売日: 2017/0...

原武史著「皇后考」そもそも男系だの万世一系だのと、ことさら系統にこだわるのは男の弱さ、比して女は…

2016.04.01

, 歴史

明治以降の日本の正史(?)では、ほぼ皇后は隠蔽された存在なのではないかと思います。ところが、実は皇后、皇太后という存在が歴史に大きな影響を与えているというのがこの本の内容です。皇后考作者: 原武史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/02/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る そもそも隠されているものを日の当たるところに出すという作...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(5)

2016.02.28

日々閑々, , 歴史

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(4)の続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る やっと加藤氏の提案にたどりつきました。提案は、「憲法九条」「核」「米軍基地撤去」の三項目からなっています。そのいずれの提案も、新しい考えからの提案ということでは...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(4)

2016.02.25

日々閑々, , 歴史

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(3)の続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る やっと本題の憲法九条の論考に入ります。加藤氏は、日本国憲法の全文と第九条には、41年8月の大西洋憲章以来、42年1月の連合国共同宣言、43年10月のモスク...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(3)

2016.02.23

日々閑々, , 歴史

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(2)からの続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る 正直、ちょっと飽きてしまっており、気分転換に他の本を読んだりしています(笑)。長いということもあるのですが、それよりも、もしこれが論文であれば半分の長さで終...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(2)

2016.02.08

日々閑々, , 歴史

戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る 加藤典洋著「戦後入門」読後読中メモ(1)は、第一部「対米従属とねじれ」のメモだったのですが、第二部は「世界戦争とは何か」と題され「ねじれ」の原因を探る考察に入っていきます。結論は、冒頭に、ねじれの原因は「第二次世...

加藤典洋著「戦後入門」読後読中メモ(1)

2016.02.01

日々閑々, , 歴史

この『戦後入門』、結構話題になっているのではないかと思いますが、何と新書版にして2cmか3cmはあるのでないかという厚さで、正直読みにくい(持ちにくい)ったらありゃしないです(笑)。なぜこの製本を選んだのでしょう?戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る ...

加藤典洋著『敗戦後論』=戦争の加害者ではなく、犠牲者としての意識をうえつけられる戦後70年だったと思い知る。

2016.01.28

日々閑々, , 歴史

今から20年前、ちょうど戦後50年という節目に発表された「敗戦後論」に、その後の批判に答えた「戦後後論」「語り口の問題」を含めた本です。戦後70年ということもあるのか、昨年再刊されているようです。敗戦後論 (ちくま学芸文庫)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/07/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 発表当時大論争...

「流/東山彰良」 エピローグの夏美玲(シャア メイリン)がかわいそうでたまらないなあ…

2015.11.30

出だしでつまずき、これは読み切れないかもと思いましたが、中頃からはぐっと惹きつけられ、その後はあっという間でした。流作者: 東山彰良出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/05/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (88件) を見る つまづきかけた訳は、出だしの過剰な文章や語り口が受け付けなかったからです。こんな感じです。色の黒い年寄りがひとり、畦...

「戦後政治史」石川真澄、山口二郎著=戦後は、戦前と断絶しているわけではなく、強く繋がっているのだ

2015.11.25

, 歴史

太平洋戦争の戦中、戦後について詳しく学んだ記憶がなく、漠然とですが、戦後は戦前の軍国主義が否定され、一夜にして民主主義の国に生まれ変わったような印象を持っていましたがとんでもありませんね。考えて見れば当たり前で、人間自体変わることが不得意な上に、組織ときたら持続することが本質なわけですから、国を操る人間たちが一掃されなければ、国が変わるはずはありません。どうやら戦争を仕掛けた者たちが戦後もこの...

「日本戦後史論」内田樹×白井聡著/読後メモ

2015.11.17

, 歴史

内田樹さんと白井聡さんの対談「日本戦後史論」を読んでのメモです。 日本戦後史論作者: 内田樹,白井聡出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2015/06/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る なるほどと思ったり、ええそうなのかとたくさん気になる箇所はあったのですが、なにせ対談ですので、話は前後しますし、論点が深まらずに言いっ放し(笑)のところも多...

アメリカの駒「日本」=原貴美恵「サンフランシスコ平和条約の盲点」を読む(まとめ)

2015.11.13

日々閑々, , 歴史

原貴美恵著「サンフランシスコ平和条約の盲点」東西冷戦による対日本政策の転換その時日本に何が起きていたのか?領土紛争の楔論原貴美恵著「サンフランシスコ平和条約の盲点」サンフランシスコ平和条約の盲点 《新幀版》作者: 原貴美恵出版社/メーカー: 溪水社発売日: 2012/12/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 「なぜ日本は...