國分功一郎「暇と退屈の倫理学」これはある種本末転倒の修正主義ではないだろうか

2014.04.21

暇と退屈の倫理学作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2011/10/18メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 13人 クリック: 146回この商品を含むブログ (121件) を見る 新進気鋭なんでしょうか? 1974年生れの40歳ですから、そうでもないですね。最近よく見かけるようになった國分功一郎さんの「暇と退屈の倫理学」、なかなか面白かっ...

長谷川幸洋「2020年新聞は生き残れるか」中日新聞は「ピンクや黄色の実験室 かっぽう着アイデアも」と物語を語ったようだ

2014.04.21

日々閑々,

確か佐村河内騒動の時だったと思いますが、 某TV番組で、「メディアは物語を作りたがる」という話になった時に、自身東京新聞・中日新聞の論説委員でありながら「メディアとはそういうものだから、仕方がない」と居直っていたのが印象に残り、「2020年新聞は生き残れるか」を読んでみました。2020年新聞は生き残れるか作者: 長谷川幸洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/28メ...

今月の挫折本「abさんご」と推薦本「abさんご(毬、タミエの花、虹)」

2014.03.06

abさんご作者: 黒田夏子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/01/20メディア: ハードカバー購入: 9人 クリック: 912回この商品を含むブログ (32件) を見る  史上最高齢の75歳で芥川賞を受賞された黒田夏子さんの「abさんご」を読み始めたのですが、全く進みません。何度挑戦しても一ページ目ではじかれます。いかに漢字という文字が優れているか思...

鹿島田真希「冥土めぐり」これは、イヤミでも何でもなく、グチを小説にした希有な作品かも…

2014.02.20

冥土めぐり作者: 鹿島田真希出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/07/07メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 287回この商品を含むブログ (37件) を見る 不思議な作品です。私には分からない世界があるように感じつつも、その分からなさそのものが分かりにくいといった感じです。いくつか疑問はあるのですが、まずはこんな話です。 三十代前...

今月の挫折本「私のいない高校」「アナーキー・イン・ザ・JP」

2014.02.10

私のいない高校作者: 青木淳悟出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/06/14メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 47回この商品を含むブログ (40件) を見る  「主人公のいない青春小説」との帯を見て、「桐島、部活やめるってよ」を思い出したのですが、それとは随分違うタイプの内容でした。そもそも小説と言えるのかどうか、文体はほとんど報告書のようです...

「佐藤泰志作品集」で暮れた今年の正月〜映画まもなく

2014.02.06

今頃正月の話もなんですが、正月休み一週間は、佐藤泰志作品集で暮れました。688ページ、二段組みですから級数もかなり小さく、厚さも数センチはあるかと思います。かなりの読みでです。佐藤泰志作品集作者:佐藤泰志発売日: 2007/10/10メディア: 単行本 佐藤泰志さんの著作は、3年ほど前にほとんど読んでいるのですが、映画「そこのみにて光輝く」の話をちらほら目にし始めたこと...

村田沙耶香「タダイマトビラ」私には白馬の王子様幻想の変奏曲に思えるのだが…

2014.01.31

タダイマトビラ(新潮文庫)作者:村田沙耶香発売日: 2017/04/21メディア: Kindle版 読み始めた十数ページは、どことなく新鮮なものを感じて、結構期待したのですが、その後読み進んでも、観念的なあるテーマから一向に拡がりをみせない展開にややうんざりし、何とかラストにたどり着いたものの、ちょっといただけないエンディングでとても残念でした。観念的なあるテーマという...

小山田浩子「工場」飛び立てない黒い鳥が何とも不気味な滑稽さを…

2014.01.25

工場作者: 小山田浩子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/03/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (22件) を見る  本を読み始める時って、まずは、ぱらぱらぱらと、全体はどんな感じかなと確認しようとしませんか? 私はします。で、びっくり! 改行がほとんどありません。最後まで、全てのページに文字がびっしりです。さらに、読み始めてびっくり! ひとつ...

芥川賞に小山田浩子さん

2014.01.19

芥川・直木賞:芥川賞小山田さん、直木賞朝井さん姫野さん - 毎日新聞小山田浩子さん? どこかで見た名前だなあと思っていましたら、何と「工場」という単行本が手元にありました。1週間ほど前に図書館から借りてきた内の1冊なんですが、たまたま目にとまっただけで、目的を持って借りたわけではありません。他のものから読み始めていますので、まだ手(目)をつけていません。借りられる期間が2週間ですので、あるい...

「生きてるだけで、愛。/幸せ最高ありがとうマジで!/ぬるい毒/本谷有希子」舞台を見ていないので何とも言えないが、戯曲より小説の道に進むべきだ

2012.03.15

本谷有希子さん、これで計5冊読みました。こんなところで、もういいような…。生きてるだけで、愛。生きてるだけで、愛。(新潮文庫)作者:本谷有希子発売日: 2018/06/22メディア: Kindle版   過眠症、メンヘルの女の必死な愛を描いています。さすがに共有できるところは少ないですが、女であれ、男であれ、今の、いわゆる等身大の若者像がよく分かります。幸せ最...

「あの子の考えることは変/本谷有希子」これ面白いです!「変」も突きつければ、気持ちいいくらいに爽やかです!

2012.02.20

これ、とにかく面白いです。笑うとか、興味をそそられるとかいった面白さではなく、その感覚に圧倒されます。あの子の考えることは変 (講談社文庫)作者:本谷 有希子発売日: 2013/06/14メディア: 文庫 地方から出てきた20代の女性二人の東京での共同生活が綴られていくのですが、あの子が変というより、二人とも変ですし、さらに言えば「本谷有希子って変!」です(笑)。「変...

「乱暴と待機/本谷有希子」映画もそれなりに面白かったので許すが、小説(多分芝居も)の方がはるかに深い。しばらくは本谷有希子を読み続けてみよう。

2012.02.13

映画「乱暴と待機」が結構面白く、小説版を読んでみました。乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)作者:本谷有希子発売日: 2010/08/25メディア: 文庫 映画より、小説版のほうが私好みです。細かい違いは、ウィキペディアに詳しいのですが、一番のポイントは、映画はややコメディタッチということでしょうか。確かに小説版でも笑えるところはあるのですが、どちらかというとブラック...

「平成猿蟹合戦図、さよなら渓谷/吉田修一」で、再び佐藤泰志を読みたくなる

2011.11.14

随分ご無沙汰している吉田修一を続けざまに2冊読みました。平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)作者:吉田修一発売日: 2014/03/07メディア: 文庫 相当エンタテイメントに走ってます。まあ週刊誌(週刊朝日)連載の単行本化なので仕方なのでしょうが、もう少し突っ込んだ話を書いて欲しいですね。って、それは吉田修一的じゃない?内容は、わざわざここに書くような話でもないです(笑)が...

「軽蔑/中上健次」を映画にするなんて!?

2011.06.27

映画,

軽蔑 (集英社文庫)作者:中上 健次発売日: 1999/02/19メディア: 文庫 意図的なんだろうとは思いますが、シーンが変わっているのに段落が変わらないとか、主語が分かりにくいなど、すんなりとは読ませてくれません。集中力を要求されます。それだけに読み応えもあり、人の心の奥底をのぞき見たような不思議な感覚にとらわれます。「軽蔑/廣木隆一」は監督自身が傍観者? - そん...

「鬼ガ島/佐藤泰志」はタイトルからは想像もできない内容だった

2011.05.22

「大きなハードルと小さなハードル」の中の一編。この重い話を青春ものにできるのは佐藤泰志さんくらいではないか。大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/06/04メディア: 文庫 こうである。28歳の高橋君は、今は文子と暮らしている。高橋君は、最近まで、三年と八ヶ月、美智子という女と暮らしていた。美智子は、高橋君の高校の同級生丸山の...

「大きなハードルと小さなハードル/佐藤泰志」にとって生きることはハードルなのだろう。いいえ誰でも。

2011.05.20

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/06/04メディア: 文庫  「海炭市叙景」を読み始めて以来、出版されているものでは最後の作品集になってしまった。全体は7編の短編集だが、表題作を含む前半5編は、私小説のようでもある「秀雄もの」と呼ばれているらしい連作である。「美しい夏」「野栗鼠」「大きなハードルと小さなハードル」「納屋のよ...

「黄金の服/佐藤泰志」を映画にしたい

2011.04.28

なぜ自分が佐藤泰志にはまっているのか。それがとても良く分かる作品集だった。黄金の服 (小学館文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/05/10メディア: 文庫 「オーバー・フェンス」「撃つ夏」そして「黄金の服」3編が収められている。「オーバー・フェンス」は、多分函館に戻った時の自分自身が反映された作品で、職業訓練学校に通う男を中心にした物語である。学校の科対抗のソフ...

「TRIP TRAP/トリップ・トラップ」金原ひとみはイクメンのバイブルになるか?

2011.04.20

久しぶりに「金原ひとみ」を読んだ。2004年に20歳で芥川賞受賞、文藝春秋が100部売れたというあの社会現象から7年か…。どこかのブログに「蛇にピアス」の感想を書いた記憶があるのだが、どこだったか? 探さねば…。受賞後、立て続け(という印象だった)に出版された「アッシュベイビー」「AMEBIC」「オートフィクション」と読んだが、その後は、チェックもしていなかった。まあ、飽きたということなんだが…...

「佐藤泰志/移動動物園」は、アラン・ドロン「太陽がいっぱい」のようだ

2011.04.16

画像を入れようと検索したら、「移動動物園」「そこのみにて光り輝く」「黄金の服」が文庫化されたうだ。喜ばしい。移動動物園作者:佐藤泰志発売日: 2013/08/30メディア: Kindle版 小学館に「移動動物園」についての説明書きがあったので引用しておこう。『海炭市叙景』で奇跡的な復活を果たした悲運の作家、佐藤泰志のデビュー作が文庫化。山羊、栗鼠、兎、アヒル、モルモ...

「かけら」青山七恵の男性はきれいすぎないか?

2011.04.13

かけら (新潮文庫)作者:青山 七恵発売日: 2012/06/27メディア: 文庫 あっけないくらい、すらすらと読み進めてしまう。だが、その行間から浮かび上がる風景は味わい深い。表題作の「かけら」、そして「欅の部屋」「山猫」と、短編3作が収録されている。この3作が並べられているのは意図的なのだろうか、それぞれに語り手の性別や立場が変わり、面白い。「かけら」は大学生の女性...