歴史

白井聡著『国体論 菊と星条旗』と 内田樹著『日本辺境論』

2018.10.31

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国体論 菊と星条旗 (集英社新書)作者: 白井聡出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/04/17メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る 冒頭、天皇の生前退位についての例の「お言葉」から書き起こしています。これですね。象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば:象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(ビデオ)(平成28年8月8日...

鴻上尚史著『不死身の特攻兵』軍神はなぜ上官に反抗したのか

2018.09.14

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不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)作者: 鴻上尚史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/11/15メディア: 新書この商品を含むブログ (15件) を見る 日本人に共通する死生観というものがあるのか、特攻隊と聞きますと純化された死のイメージが強く、なかなか「戦争」という現実の中で語ることができずにいるような気がします。この本は、佐...

中日新聞特報『満蒙開拓団 封印された「性接待」』

2017.07.04

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東京新聞:満蒙開拓団 封印された「性接待」:特報(TOKYO Web)今朝の中日新聞(東京新聞は2日?)に「満蒙開拓 虐げられた女性」「ソ連兵へ性接待、重い口開く被害者」という特集記事が掲載されています。有料の記事ですので、引用は公開されているリードだけです。戦前、旧満州国(現中国東北部)に国策として送り出され、敗戦後の逃避行で大勢の犠牲者を出した「満蒙(まんもう)開拓団」。そこには敗戦...

加藤陽子著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

2017.03.29

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それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫)作者: 加藤陽子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/06/26メディア: 文庫この商品を含むブログ (16件) を見る 著者の加藤陽子さん、東大の教授で専門は日本現代史、ご本人はこの本の中で(専門は)1929年の大恐慌、そこから始まった世界的な経済危機と戦争の時代、なかでも1930年代の外交と軍事です。...

南京事件が分かった! 笠原十九司著『南京事件論争史』

2016.12.14

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日本では、ほとんどニュースで扱われませんが、中国では、昨日12月13日を南京事件の追悼日として国家式典を開いています。安倍首相が真珠湾を訪れることについても、南京も訪れるべきだの声が上がっているそうです。安倍首相は南京事件否定派ですから、どう転んでもありえない話ではありますが。南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書)作者: 笠原十九司出版社/メーカー: 平凡...

南京虐殺/いまさらながらプライムニュース『「南京事件」とは何か 3論客の見方相互検証』を見てみた

2016.11.27

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昨年、ユネスコ記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録され、それを受けて日本がユネスコへの分担金支払いを保留しているとの件、どうやらまだ支払っていないようです。ユネスコ、南京事件を記憶遺産登録=言うことを聞かないなら、カネは出さん!と一家の主はちゃぶ台をひっくり返した南京虐殺については、来年2017年が「南京大虐殺80年」に当たりますので、多分、中国ではさらに大きく扱われることにな...

秦郁彦著『南京事件』

2016.11.22

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日本テレビの番組「南京事件~兵士たちの遺言~」に対して、産経が「『虐殺』写真に裏付けなし 日テレ系番組『南京事件』検証」と記事にした件、その後は何も起きていないようです。ausnichts.hatenablog.com「南京虐殺」、概要しか知りませんので、この際、いろいろ読んでみようと、まず秦郁彦氏の「南京事件」を読んでみました。南京事件―「虐殺」の構造 (中公新書)作者: 秦郁彦...

大城立裕著『カクテル・パーティー』 50年前の沖縄の小説が、何も変わっていない沖縄、アメリカ、日本の関係を教えてくれる。

2016.08.06

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二ヶ月ほど前の中日新聞で特集されていた「大城立裕」さんの「カクテル・パーティー」です。1967年の作品で、その年の上半期芥川賞を受賞されています。カクテル・パーティー (岩波現代文庫)作者:大城 立裕発売日: 2011/09/17メディア: 文庫 簡単(ではなくなってしまいましたが…)に内容を書きますと、本土復帰前のアメリカ統治下の沖縄が舞台です。役所勤めの「私」...

ホロコースト生存者が質問に答えている=「私はナチスの7つの収容所を体験した92歳です」

2016.04.06

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「らばQ」さんが、海外の掲示板 reddit に掲載されたホロコースト生存者への質問と答を紹介されています。質問に答えているのは、1924年オーストリアのウィーンで生まれたヘンリー・フレッシャーさんという方で、当時16歳だったと語られています。labaq.comすべての答えがとても重いものですが、特に次の2つが印象に残りました。Q: 看守は全てひどかった...

原武史著「皇后考」そもそも男系だの万世一系だのと、ことさら系統にこだわるのは男の弱さ、比して女は…

2016.04.01

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明治以降の日本の正史(?)では、ほぼ皇后は隠蔽された存在なのではないかと思います。ところが、実は皇后、皇太后という存在が歴史に大きな影響を与えているというのがこの本の内容です。皇后考作者: 原武史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/02/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る そもそも隠されているものを日の当たるところに出すという作...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(5)

2016.02.28

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加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(4)の続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る やっと加藤氏の提案にたどりつきました。提案は、「憲法九条」「核」「米軍基地撤去」の三項目からなっています。そのいずれの提案も、新しい考えからの提案ということでは...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(4)

2016.02.25

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加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(3)の続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る やっと本題の憲法九条の論考に入ります。加藤氏は、日本国憲法の全文と第九条には、41年8月の大西洋憲章以来、42年1月の連合国共同宣言、43年10月のモスク...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(3)

2016.02.23

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加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(2)からの続きです。戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る 正直、ちょっと飽きてしまっており、気分転換に他の本を読んだりしています(笑)。長いということもあるのですが、それよりも、もしこれが論文であれば半分の長さで終...

加藤典洋著「戦後入門」読中読後メモ(2)

2016.02.08

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戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る 加藤典洋著「戦後入門」読後読中メモ(1)は、第一部「対米従属とねじれ」のメモだったのですが、第二部は「世界戦争とは何か」と題され「ねじれ」の原因を探る考察に入っていきます。結論は、冒頭に、ねじれの原因は「第二次世...

加藤典洋著「戦後入門」読後読中メモ(1)

2016.02.01

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この『戦後入門』、結構話題になっているのではないかと思いますが、何と新書版にして2cmか3cmはあるのでないかという厚さで、正直読みにくい(持ちにくい)ったらありゃしないです(笑)。なぜこの製本を選んだのでしょう?戦後入門 (ちくま新書)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/06メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る ...

加藤典洋著『敗戦後論』=戦争の加害者ではなく、犠牲者としての意識をうえつけられる戦後70年だったと思い知る。

2016.01.28

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今から20年前、ちょうど戦後50年という節目に発表された「敗戦後論」に、その後の批判に答えた「戦後後論」「語り口の問題」を含めた本です。戦後70年ということもあるのか、昨年再刊されているようです。敗戦後論 (ちくま学芸文庫)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/07/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 発表当時大論争...

菅義偉官房長官の発言に抗議=戦後沖縄・歴史認識アピール

2015.12.03

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菅義偉、ホントこの人を形容する言葉は「無知の暴力」以外にありません。これまでにも「無知」ゆえの暴言がたくさんありますが、昨日も菅氏は「20年前に普天間の危険除去の日米合意がされ、多くの県関係者が努力する中で一昨年にようやく埋め立て承認をいただいた」と強調。政府と県側の対話が歩み寄りにつながらなかったことについて「(基地問題の)原点を終戦後までさかのぼると、話し合いの余地がなかったのではない...

「戦後政治史」石川真澄、山口二郎著=戦後は、戦前と断絶しているわけではなく、強く繋がっているのだ

2015.11.25

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太平洋戦争の戦中、戦後について詳しく学んだ記憶がなく、漠然とですが、戦後は戦前の軍国主義が否定され、一夜にして民主主義の国に生まれ変わったような印象を持っていましたがとんでもありませんね。考えて見れば当たり前で、人間自体変わることが不得意な上に、組織ときたら持続することが本質なわけですから、国を操る人間たちが一掃されなければ、国が変わるはずはありません。どうやら戦争を仕掛けた者たちが戦後もこの...

「日本戦後史論」内田樹×白井聡著/読後メモ

2015.11.17

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内田樹さんと白井聡さんの対談「日本戦後史論」を読んでのメモです。 日本戦後史論作者: 内田樹,白井聡出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2015/06/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る なるほどと思ったり、ええそうなのかとたくさん気になる箇所はあったのですが、なにせ対談ですので、話は前後しますし、論点が深まらずに言いっ放し(笑)のところも多...

アメリカの駒「日本」=原貴美恵「サンフランシスコ平和条約の盲点」を読む(まとめ)

2015.11.13

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原貴美恵著「サンフランシスコ平和条約の盲点」東西冷戦による対日本政策の転換その時日本に何が起きていたのか?領土紛争の楔論原貴美恵著「サンフランシスコ平和条約の盲点」サンフランシスコ平和条約の盲点 《新幀版》作者: 原貴美恵出版社/メーカー: 溪水社発売日: 2012/12/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 「なぜ日本は...