今月の挫折本「私のいない高校」「アナーキー・イン・ザ・JP」

私のいない高校

私のいない高校

 

 「主人公のいない青春小説」との帯を見て、「桐島、部活やめるってよ」を思い出したのですが、それとは随分違うタイプの内容でした。

そもそも小説と言えるのかどうか、文体はほとんど報告書のようです。一貫した主体のない、……がありました、……でした、と言った文章が最後まで続きます。最後までと書きましたが、私は1/3程度で挫折です。さすがに延々と続く、事実の羅列、結果の羅列を読み続けることは出来ませんでした。

この作品には、「海外留学生受け入れ日誌 アンネの日記」(大原敏行著、東京新聞出版局)という元本があるらしく、それを「フィクションとして改作創作した」ということらしいです。(朝日新聞デジタルより)何とも不思議な作品です。

客観的とも、また「私」がいないとも違い、中心がないという感じが近いですかね…。徹底的に「物語」を排除しようとしているのでしょうか? そしてまた、「物語」を求める読み手への宣戦布告なのでしょうか?

ちなみに、この小説は2012年の三島由紀夫賞を受賞しているんですが、何がどう評価されたんでしょう? 選考委員は、川上弘美、高村薫、辻原登、平野啓一郎、町田康となっています。選評があれば読んでみたいものです。

ただ、こうしたスタイル(?)をあえて取った青木淳悟さんには相当興味を覚えましたので、他の作品を読んでみようと思っています。

アナーキー・イン・ザ・JP

アナーキー・イン・ザ・JP

 

こちらは、借りた私が悪かったです(笑)。数ページで早々と挫折です。