日本の右(百地章氏)は「天皇の軍隊」の夢を見るか

【正論】支持率低下は「改憲つぶし」を画策した共産、民進、左翼メディアが最大の原因だ 改憲を躊躇すれば、反対派の「思う壺」 国士舘大学特任教授・百地章(1/4ページ) – 産経ニュース

百地章氏と言えば、安保法制が違憲かどうかと議論になった際に、菅官房長官が「違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」と記者会見で発言したその内のひとりです。

補足しておきますと、「たくさん」というのは嘘で、実際には二人であるとか三人であるとか、せいぜい数人といったところが有力な数字でしょう。

で、この産経の記事は、その百地氏が、安倍政権の支持率急落によって憲法改正が頓挫するのではと危機感を持ち、「ここで怯むな!」と安倍首相およびその取り巻きに発破をかけつつ、具体的な憲法改正案を指南する内容となっています。

百地氏が、

改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている今をおいて憲法改正など考えられない以上、目標に向けて粛々と改憲草案の作成に取り組むべきだ。 

と言っている3分の2は公明党も含んでいるわけで、確かに公明党はいざとなれば権力を手放したくないでしょうから自民党案に賛成する可能性もなくはないでしょうが、危うい道は避けて安全策として公明党も賛成しやすい案を提言しています。

9条の2を 

9条の2「前条〔9条〕の下に、わが国の平和と独立を守り、国際平和活動に協力するため、自衛隊を保持する。その組織及び権限等は、法律で定める」

と改正する案で、その意図は、

  1. 「自衛隊の保持」を憲法に明記することで違憲論の余地を無くす
  2. 「自衛隊の保持」と「国を守る」という「目的」を憲法に明記することにより、自衛隊に栄誉を、そして自衛官に自信と誇りを与え、社会的地位を高める
  3. 「前条の下に」という文言を加えることで、本条が「9条の例外」ではなく、あくまで「9条および9条解釈の枠内」での改正であることを明らかにする

とすることらしいです。

不思議ですね。

日本の右の人たち、この場合、右の論客と言われる百地氏ですが、なぜそんなにも憲法に自衛隊という文言を入れたがるのでしょう。

そもそも安保法制なんて誰がどう考えても違憲なのに強行採決で成立させてしまう国なのに、現実に存在する自衛隊が憲法に明記されなければその存在を認められないかのように必死になるって、どう考えても自己矛盾です。

結局、右の人たちはその次を狙っているということでしょう。

百地氏はこう言っています。

改正によって期待される「効果」だが、この改正案では、残念ながら、自衛隊の「権限」は現在と変わらない。しかし、その「地位」は大きく向上する。

すなわち、まず、統合幕僚長をはじめ陸上・海上・航空幕僚長等を、天皇によって認証される「認証官」に格上げすることが期待できる。また、自衛官の「栄典」「賞恤金(しょうじゅつきん)」(犠牲者への功労金)等の待遇改善および向上、外国駐在武官の地位の向上など、多くの場面でプラスの効果をもたらし、自衛官の士気を高めるであろう。

戦前の天皇の軍隊を夢見ているということでしょう。