青木理著『破壊者たちへ』感想・レビュー・書評・ネタバレ

青木理さんの著書は『日本会議の正体』『安倍三代』、そして『時代の抵抗者たち』と読んできています。批判することや異議を唱えることが嫌われるこの時代にあって、テレビのコメンテーターとしても常に権力を監視することこそがジャーナリストの役目であるとのスタンスを守り続ける数少ない人物です。

 

 

 

破壊者たちへ

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誰がこの国を壊したのか?

この本もそうで、2018年の始めから昨年2021年の9月までの『サンデー毎日』への連載コラムや単発の記事がまとめられており、そのどれもその時々の権力の不正や見当違いな行いを糾弾したり、さすがに情けなくなって嘆いたりする思いが綴られています。

 

読めば読むほど、この国では一体何が起きているのかと思いが沸き起こってきます。

 

公文書改竄、議事録の非作成の常態化、そうしたことに対する報道姿勢の劣化、はびこる嫌韓嫌中言説、沖縄への無関心、拉致問題解決への無策、言葉だけの女性活躍、なし崩し的な自衛隊の米軍への一体化、森友加計さくら問題そのものとともにそれに対する無責任体質などなど、ここ最近の政権の無軌道ぶりは言葉もないほどです。

 

タガが外れています。政治の世界だけじゃないです、官僚機構も報道機関も、そしてあるいはわれわれ国民も…。

 

誰がこの国を壊したのか?

 

われわれは日本の現代史を知らない

国家が壊れることは一概に悪いこととも言えませんが、その壊れ方が問題です。われわれがわれわれの意志で国家を壊すことには何の問題もなく、壊したあとをどうするかはまた別の問題です。いま問題となっているのは、権力が権力を維持しながら内部が腐っていっていることです。言い方をかえれば、権力は自ずと腐るものであり、今現在われわれはその真っ直中にいるわけであり、問題は、その権力を替える、倒す、再生する、いかなる方法も持ち得ていないことです。

 

日本の民主主義は人民(国民)自らの手で獲得したものではないとはよく言われることですが、まさしくその通りで、太平洋戦争もたとえそれが当時の権力や報道機関に誘導されたものであるにしてもわれわれはそれを喝采して受け入れたわけで、ところがその戦争が敗戦となれば、一夜にして自らを被害者へと変節させ、天から降ってきたかのような「民主主義」なるものを金科玉条として戦後を生きてきたわけです。

 

戦争のことなど知らないで済ますわけにはいきません。済ましてきたから今があります。

 

なにゆえ戦争が起き、あるいはなにゆえ戦争を始め、そしてその時自らが戦場の各地で何をやってきたかを知ることなく、学ぶことなく、自らも戦争の被害者としてすべてをなかったことにしてしまったことが問題です。

 

明治以降の歴史を学び直す必要があります。

 

われわれは本当の民主主義を知らない

私もそうですが、この国のほとんどの人は戦後の民主主義教育の中で育っています。しかしながら、民主主義とはなんであり、どう獲得されたものであり、どうすれば維持していけるものなのかを学んだこともなく、考えるよう促されたこともありません。また、多分ないんだろうと思います。

 

おそらく、そこから始めなければ何も変わらないでしょう。

 

しかしながら、教育が権力によって握られているものである以上、結局のところ、自ら学ぶしかありません。そして、そう気づく人々が増えていくことを望むしかないのがまさに今の現状なんだろうと思います。

 

そんなことを考えた青木理著『破壊者たちへ』です。